ORIENTAL TRUNK SHOW 7th Anniversaryが4月29日土曜日より神宮前店で開催されます。
今回そのイベントと同タイミングで、ワールドフットウェアギャラリーで別注で開発致しました新モデルをお披露目致します。
Model:720
エラスティック・オン・インステップ・デミブーツでございます。
その名の通り、内部に足の甲にエラスティックの渡しゴムがかかっています。これによりスリッポンと同じように快適な着脱をお約束し、また甲の嫌な足当たりが軽減される構造となっています。
センターエラスティックのデミブーツ(ローカットブーツ)は、1960年代半ば~70年代ごく初頭、唐突にファッションシーンに取り上げられた趣味性の高い靴です。
ジョン・ロブ・ロンドン風に言えば、エラスティック・オン・インステップ・デミブーツといったところでしょう。
1960年代はプレーンでソリッドな靴が非常に人気のあった時代で、Vフロントのダービーが特にその顕著な例となりますが、エラスティック・オン・インステップのスリッポンタイプのものも60年代初頭から人気を集めていました。
今回私共が別注致しました、エラスティック・オン・インステップ・デミブーツはその発展版といった形で60年代半ば~70年代のごく初頭までの、約5年、わずか10年にも満たないごくごく短い期間に人気を博しました。
このようにご紹介すると、長い歴史の中に突然変異で生まれたデザインの靴のように思われるかもしれません。
しかし、元来はイギリスを中心とした、注文靴メーカーに散見される程度ではありますが、古くから存在していたデザインのようで、ひも解くと、その歴史は1800年代にさかのぼることが可能だそうです。
注文靴メーカーで散見される程度、というくらいなので、当然既製品では非常に珍しいデザインでした。
デザインとしてはかなり先進的・独創的なものであるものの、プレーントウであるという点から、ややフォーマルなシーンにも適した非常に稀有な靴であると感じます。
だからこそ一部の洒落たトレンドセッターがわざわざ注文=ビスポークして履いていたとも考えることは可能でしょう。
それだけ、己の装いにオリジナリティを見出そうとする人には愛されたデザインだったのです。
なお、何故このスタイルの靴が1960年代半ばに注目されたかと言えば、これは1960年代に大流行したコンチネンタル式様式のミニマルで飾り気のないスーツスタイルに迎合したためだと思われます。
1960年代~70年代初頭には流行していた形跡が各メーカーの広告や、ごくわずかではありますが、現存しているビンテージシューズからも、容易にうかがい知ることができます。そのごく一部だけ当ブログでご紹介します。
ブローグシューズで名を馳せたスコットランドのメーカー、SAXONE(サクソン)の広告です。こちら1960年代の広告です。
いかがでしょうか。実に趣味性の高い靴だと思いませんか?
WFGでは今から60年近く前に人気のあったデザインの靴にフォーカスしたのです。
この靴をWFGが別注した理由
今年で7周年の節目を迎えるORIENTALは、ここ数年の激動する世の中を見据え、ブランドを見つめ直し再構築する運びとなりました。
人々のライフスタイルの変化に伴い、ファッションスタイルも多様化し、革靴もクラッシックなドレスシューズから活動的なカジュアルシューズに至るまで、履く方の生活シーンや趣味嗜好など多岐に亘るようになりました。そんな社会的背景にフィットする靴とは何かを模索した結果、主にTRADITIONLとMODERNというコンセプトを軸に美しく快適な革靴をご提案し、より多くの方々にとって身近で必要とされる革靴を目指すことに至りました。
新たなビジョンは“革靴をもっと日常に”。
クラッシックなスタイルに適したドレスシューズから、もっと抜け感のあるジャケパンスタイルやカジュアルウェアなど、様々なスタイルにも自由に履くことができる革靴の普及を目指し、より革靴を身近で必要なものとして感じて頂けるために、このビジョンをORIENTALは掲げました。
私共もORIENTALのこのビジョンに深く共感します。
そこで何故このスタイルの靴を製作する運びになったのか?
その理由を下記に抜粋します。
- デミブーツという着脱が用意で気軽という点。
- 短靴ではないけれども、ブーツと呼称するのも首を傾げたくなるくらいローカットのブーツ。それを手助けする内部のエラスティックゴム。まさしくオンとオフとを行き来できる絶妙でニュートラルな立ち位置にあるスタイルの靴という点。
- プレーントウであるために、上記の要素を手助けするようにニュートラルな顔つきになるという点。
- ニュートラルな顔つきということは、選ぶ素材によって変幻自在、様々な顔つきになる可能性があるという点。
- ニュートラル、変幻自在であるということは、様々なシーンに溶け込む対応力があるという点。
- クラシックシューズではある。だけれども、その出で立ち、経緯、歴史から見ても、クラシック・左派とでもいうべきか、革新的なな要素を多く含んだデザインであるという点。
先にもご紹介したとおり、非常に歴史あるデザインながら、現在のORIENTALの方向性にも迎合しています。
またワールドフットウェアギャラリーでは長年「時を越えたエレガンス」を体現する靴の紹介をテーマとし、世界中様々な靴をご紹介してまいりましたが、まさにこの靴は私共が追い求めてきたテーマにも迎合する靴なのです。
「ブーツ」とはいいますが、オールシーズン着用可能な点が肝です。
便宜上今回この靴を「ブーツ」と呼んでいますが、正真正銘のデミブーツであるため、丈の長さが極々短い7.5㎝丈です。一般的なチャッカブーツの丈の長さが9㎝台後半から10㎝オーバーと考えると、かなり短いことがお分かり頂けるかと思います。
よって、春夏秋冬、シーズンを問わずオールシーズンお召いただける靴として活躍することが可能です。
これから暑くなる7月、8月であっても、ショート丈であるため、暑苦しさを感じさせません。よって盛夏においても容易に履くことが可能となっております。
冬の寒い季節には、程よいこのショート丈が、普通のローファーとは違って寒々しさを感じさせない作りとなっています。
この絶妙な塩梅の靴が今から60年近く前に人気を博したというのが素晴らしく思います。
革靴の長い歴史も踏襲し、革靴愛好家の方も唸る逸品がここに完成致しました。
4月29日(土)~5月7日(日)まで先行予約販売致します
こちらのWFG別注エラスティック・オン・インステップ・デミブーツはもちろん後日ワールドフットウェアギャラリーにて販売を致します。
その際、確実に、誰よりも早く確実に手に入れたいという方に朗報です。4月29日(土)より先行予約販売を行います。
先行予約販売受付期間は4月29日(土)より5月7日(日)までのゴールデンウィーク期間中のみとなります。ご了承ください。
神宮前店はもちろん、銀座店でも当モデルはご覧いただくことが可能となっております。
サイズもご自身のサイズでオーダーを頂くことが可能ですので、是非この機会をご利用ください。
モデルNo:720
アッパー:ボックスカーフ
ラスト:7965
製法:グッドイヤーウェルト製法
ソール:レザー
価格:62,700円(税込)
先行予約販売期間:4月29日(土)~5月7日(日)
※今回こちらのモデルでパターンオーダーは不可となります。ご容赦くださいませ。