1979年の創業以来、ワールドフットウェアギャラリーでは、長年世界中の素晴らしい靴の数々をご紹介してまいりました。
明治時代に本格的に「革靴」が欧米からもたらされると、日本の軍隊の近代化に総力を上げる「富国強兵」も手伝い、一気に製靴産業というものが隆盛していきます。
この歴史から考えると、日本における洋装・革靴の歴史というのは、どう見積もってもせいぜい150年程度なのです。
1989年、雑誌『BRUTUS』から一冊の “靴特集” がでます。「靴だけは外国製に限る、という人が多い。」「それも英国製、というのがファッション界の世界的傾向といえる。」
日本において、英国靴が特にフィーチャーされた瞬間で、今なおこの本の影響は続いていると感じます。
また、雑誌で言うと、メンズEXさんのムック本として出版された「高級靴読本」シリーズの存在も本格靴ブーム形成の大きな要因になったと感じます。
そして、2000年代から2010年代初頭を引っ張ったクラシコイタリアブーム。
イタリアをはじめとするラテン靴のスマートな木型、色使いに魅了された方も多かったのではないかと思います。
そう考えると、革靴の中でも、私たちがいわゆる「本格靴」としているものにしっかり触れたのは、せいぜいここ30年~40年ほどのことであって、真の意味で「本格靴」が理解され始めたのは、ようやくここ最近なのではないかと思うのです。
コロナによって今までの価値観が一気に様変わりした今、ワールドフットウェアギャラリーが今まで歩んできた靴商売で、何を皆様にご提案をできるのか?社会的価値・使命は何か?と考えた時に、やはり日本人だからこそ、日本人が作った日本人向けの靴、その価値を今一度力を注いでお伝えするべきなのではないかという考えに至りました。
日本が欧米諸国の革靴から学び、文化が熟成し始めた今、日本の靴文化・靴愛好家の方にもう一歩先の次のステージへご案内致します。
本物志向の皆様へWFGからのご提案です。
TORU SAITO オーダーシューズ オーダー会を開催致します。
TORU SAITOと弊社のつながり
TORU SAITOを主宰する靴職人、斎藤融さんとワールドフットウェアギャラリーの繋がりは、とるパーティーにて、かつて神宮前本店にお店を構えていらしたHIRO YANAGIMACHIの柳町弘之さんから斎藤さんをご紹介いただいたところから始まります。
靴修理店の「スピカ」で研鑽していた斉藤さんは「TORU SAITO」ブランドをそのスピカで始めたのですが、スピカにはかつて銀座店2階でWFGリペアファクトリーの店主であった大和潤平さんと同僚であったということもあり、御縁が深まりました。
斉藤さんの靴創りの哲学
BE SPOKEN。ビスポークの語源はまさに対話すること。
話すことで、その人のライフスタイルや好みなどを理解したうえで、言われたことをそのまま創るのではなく、あくまでコミュニケーションの中で、お客様の言葉の中にあるものを汲み取って提案していく。お客さまと意見交換をしながら一つのものを創り上げていくことで、お客様の「参加している意識」が高まると思う。本当に想いを込めて、職人に託して創ったものだからこそ、永く履いていただけるようになると思います。
日本人らしい「力強いフォルム」を活かして
斉藤さん:靴とは元々欧米の文化です。長い年月をかけて作り上げられた形があり、足幅が細く踵が広い全体的にスリムなものが特徴とされています。
しかし、日本人は当然特徴が異なり足は幅広、甲高、そして踵が狭く、欧米の方とは似て非なる形です。私は日本の風土に適応するために進化してきた日本人の足に他の国では出せない「力強さ」が秘められていると感じています。
「幅広、甲高」ではなく、「幅があり、厚みをもった足」そして「たくましく、大地を捉える足」
この力強いフォルムが評価され、欧米のラスト(足型)の美しさと肩を並べられるよう
日々の靴作りに取り組んでいます。
また、この時代の激流の中で、改めて自身のブランドをでは「loosen」をひとつ
ネクタイを緩めた瞬間に感じる心理的な解放感。完全に「崩す」のではなく少しだけ「緩める」。それはカジュアルとは違いドレススタイルをベースとしながらも素材やデザイン線を少し変化をつけることで出る雰囲気を軸としております。
オーダー可能モデルのご紹介
- 内羽根ストレートチップ
オックスフォードシューズ(Oxford shoes)とは、鳩目を通して紐で結ぶ、短靴のことを指します。
17世紀後半にオックスフォード大学の学生達がブーツ型の靴を短靴にして紐を通して履い たのが始まりとされ、デザイン的に非常にフォーマルなものとされています。なかでも黒のストレートチップは公式な場所で使用するのに最適とされています。
- サドルシューズ
サドルシューズは、中央の部分に切り返しがあるコンビネーションの靴になります。 中央に施した部分のデザインが馬の鞍(サドル)をつけたようなデザインからそのように呼ばれています。
- クオーターブローグ
穴飾りが靴の縫い目に施された靴を「ブローグ(brogue)」と呼び、その穴飾りの多さやメダリオンの有る無しによってフルブローグ、セミブローグ、クオーターブローグなどに分類されます。クオーターブローグは比較的穴飾りが少なく、ビジネスのシーンでも比較的使用しやすいデザインとなっております。オーダーにおいてはもちろんメダリオンの追加などは可能ですので、セミブローグ仕様にすることなども可能です。
- 5アイレットプレーントウダービー
ダービーはオックスフォードとは異なり、紐を通す羽根のパーツが甲よりも前につけられた外羽根式の靴のことを意味します。
サンプルでは5eyelet、3eyelet、1eyeletとあり、eyeletが多い方がややクラッシック、少ない方がややモードな印象を持ちます。
こちらの5アイレットダービーは選ぶ素材によって、雰囲気を大きく変えることができます。また、パターンオーダーの範囲内でキャップを付け加えることなども可能です。その場合よりアーミーで厳格な雰囲気に仕立てることが可能でしょう。
履き口が外に開き、フレキシブルに動く為、同じ木型で製作した場合でもオックスフォード比べリラックスしたフィット感となります。
- 内羽根フルブローグ
ブローグデザインの中でも一番穴飾りの多いフルブローグはよりカジュアルな印象を与えます。
フルブローグの特徴としてキャップ部分が鳥の翼のかたちを連想させることからウイングチップと呼ばれており、とても華美なデザインである為フォーマルな場所にはやや不向きとも言われております。写真サンプルではつま先にメダリオンが入っていませんが、もちろんお好みでメダリオンの追加は可能でございます。
- 3アイレットVフロントプレーントウダービー
3eyeletのダービーは全体的にバランスがとてれており、お選びいただく革によって フォーマル、カジュアルのどちらにでも 合わせやすいデザインとなっております。
- 内羽根プレーントウメダリオン
Oxfordサンプルの中で最もシンプルなデザインでヒール部分もシームレスバックの2パーツのみで構成されています。
その為、素材感が高く感じられ革の風合いやエイジングを楽しむことができます。デザイン的にもフォーマルなものとされ ビジネスシーンなどでもご利用いただけます。
写真のサンプルはつま先にメダリオンが入っていますが、これを取り除くことで、最も格式の高い「内羽根プレーントウ」の靴を作ることが可能です。
- ワンアイレットプレーントウダービー
1eyeletのダービーはシンプルなデザインである為お選びいただく素材(革)や出来上がった木型のフォルムで大きく印象が変わります。
- アデレード
靴紐を通すeyelet(アイレット)部分が竪琴の枠のような形状になっているデザインでアデレードと呼ばれています。
独特なデザインの為、少し特徴のあるデザインを求める方に好まれます。サンプル品では竪琴部分の切り返しがステッチのみの飾りとなっておりますが、この部分にブローグを入れたり違う色や素材の革で切り返したりすると雰囲気も大きく変わり個性も演出できます。
斎藤融さん 2月26日(日)ご来店決定
オーダー会最終日となる2月26日(日)は職人の斎藤融さんご本人が来店し、皆様のフィッティングチェックを承ります。
ビスポークシューズを手掛ける職人さんに直接革靴のことをご相談いただける貴重な機会でございます。ぜひ、ご利用ください!
パターンオーダーだけではなく、ビスポークオーダーも当日は可能ですから、ビスポークをしたいという方がいらっしゃいましたら、遠慮なくお申し付けください。
また、この両日にご都合が合わない方でも、斎藤さんによる接客のご予約も可能な限り承りますので、お気軽にお問い合わせください。
なお、斎藤さんご来店日の2月26日(日)の斎藤さんによる接客はご予約の方優先のご案内となります。ぜひお早めにお問い合わせ・ご予約をいただければ幸いです。
◆概要:TORU SAITO オーダー会
◆開催店舗:ワールドフットウェアギャラリー銀座店
◆開催期間:2月20(月)~26日(日)
◆斎藤さんご来店日:2月26日(日)
※斎藤さんによる接客は予約制となります。お早めにお問い合わせください。
◆9分仕立てパターンオーダー価格:198,000円~
◆ビスポークオーダー価格:330,000円~
◆パターンオーダーサイズ展開:24cm~28cm
◆パターンオーダーウィズ展開:ナロー、ノーマル、ワイドの3種
◆パターンオーダー納期:5か月~
◆ビスポークオーダー納期:1年~
◆オーダー可能モデル:9種
◆お問い合わせ:03-3572-6811
斎藤 融 略歴
神奈川県厚木市出身。
大学卒業後、大手化粧品メーカーに営業職として勤務。
やがて靴の世界に魅了され、浅草の靴学校で靴づくりの基礎を学ぶ。
卒業後、更なる技術向上と知識習得のため、
日本を代表する靴職人の一人である柳町弘之氏より
Shoemakerとしての必要な技能と心得を学ぶ。
2014年、自身のブランド「TORU SAITO」発表。