縁の下の力持ち

革靴好きの方がよく着目する一つのポイントがアッパーの革です。

確かに質の良い革と質の劣る革を見比べたときに、誰の目にもハッキリとわかる差をお感じになるのではないかと思います。

これは美しいものを求める人間の本能的なところから感じる直感的なものもあるでしょう。

ところで、アッパーの革はすぐに目につき、履き心地でその品質を確かめていただくことが可能ですが、縁の下の力持ちであるソールのほうは忘れられがちです。

アッパーの革と同じく、レザーのソールにもランク付けがあります。

質が高くなればなるほど耐摩耗性に富み、じっくりと足に馴染むものになります。

 

話が少し変わりますが、「昔の革のほうが、品質が良かった」とは革靴業界ではしばしば聞くフレーズです。

そしてそれはまずまず、そのとおりであると思います。

しかし、仮にデッドストックの状態であったとしても、過ぎ去った年月によるダメージは目に見えなくとも重ねっており、当時のクオリティのまま履くことができないこともあります。

 

その点はアッパーの革もソールの革も同じです。

 

個人的な体験から言わせていただければ、レザーのソールが突然割れて使い物にならなくなるということは珍しいことではありません。

 

ですが、中には当時の状態に近いまま、履くことのできるレザーソールもあります。

 

写真は筆者のビンテージのChurch'sの靴です。いわゆる「都市無し」のモデルになりますので、おおよそ60年近く前に製造された靴になります。アッパーはひび割れが履き下ろすや否や発生してしまったので、残念ながらアッパーに関しては当時のクオリティを楽しむことはできなかったのですが、ソールに関しては、当時のまま履くことが今のところできています。

 

まずなんといっても革が硬く、まったく穴が開く気配がしません。

 

そしてしなやかであるという点。Church'sですから昔から変わらずグッドイヤーウェルト製法で作られています。

通常グッドイヤーウェルト製法というと、硬く履き馴染みが遅いのがネックになりますが、往年の靴はまるでハンドソーンの靴のようにレザーソールがしなります。(このしなりに関しては、ソールに使われている革のみだけでなく、リブなどの副資材等も含め、現代と異なるために複合的な要因が絡んでいるとも考えられます)

 

このため、足に吸い付くように馴染む感覚があり、これはスニーカーとはまた違う快適な履き心地があるのです。

 

硬く、堅牢にも関わらず、しなやかさにも富み、足に良く馴染むレザーソール。

 

このようなレザーソールを使うとすると、相当なコストがかかります。事実オーダーシューズの世界ではアッパーの革よりもソールに使う革のほうが原価が高いということはしばしばあることです。

 

ワールドフットウェアギャラリーでは、通常のオールソールに加え、よりグレードの高いレザーソールである、ドイツのレンデンバッハを使用してのオールソールも承っております。


レンデンバッハはいわゆるオークバークソールと言われるものです。

原皮の状態からオークバークタンニンで鞣されています。長いものでは1年もの時間をかけて鞣された革は、革の繊維の目が詰まり、丈夫ですり減りにくく、足に時間をかけて馴染む素晴らしい底材となります。

 

なんといっても、60年前に作られたレザーソールが現役で履けるのですから、「革」というマテリアルには時代を越えていく力を潜在的に具えているのです。

 

レザーソールにこだわる方は今まで以上に「縁の下の力持ち」にこだわってみてはいかがでしょうか。