以前投稿致しましたエラスティック・オン・インステップシューズについてのお話の続きです…。
エラスティック・オン・インステップ、というのはJOHN LOBB LONDONが最も得意としているスタイルのスリッポンです。
日本ではサイドエラスティックシューズと対になるような呼称である、センターエラスティックシューズと呼ばれることが多いです。
JOHN LOBBの言うこのエラスティック・オン・インステップシューズというものは、ざっくり言えばローファーと一緒です。
しかしながら一般的なローファーと一線を画すのが、その立ち位置です。
OrientalのHAMILTONのようなストレートチップタイプ、MIYAGI KOGYOのAZAMIのようなプレーンスタイルはフォーマル向けの靴です。
ジェームズ・ボンドも履いたということで、そんな内容のブログでも触れました。
MIYAGI KOGYO AZAMI 価格:60500円(税込)
具体的にどれくらいまでの「フォーマル」を想定しているかといえば、ディナージャケットを着る位のシーンです。ディナージャケット=タキシードは夜の準礼装ですから、昼の準礼装であるディレクターズスーツくらいまでは対応できると考えています。
もちろん紐靴のストレートチップ、プレーントウであれば、より正式なスタイルとなりますし、それが望ましいことは承知の上ですが、スリッポン指定条件下で靴を選ぶのであればこのエラスティック・オン・インステップは候補にあがります。
…と、ここまでが一部加筆も加えまして、以前投稿したまでの流れです。
フォーマル向けに履くことができる、と言われてもいまいちピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。実際、007は2度死ぬとワールドフットウェアギャラリー銀座店のブログを投稿したその翌日、「本当にフォーマルシーンで履くことができるものなのでしょうか?」と恐る恐るご質問のお電話をいただきました。
そして、わたくし、2021年の今、この手の靴を最も得意としているJOHN LOBB LONDONに問い合わせをしてみたのです。
いたってシンプルに「この靴は冠婚葬祭で履くことができる靴なのか?」と。
この質問メールを送ったことも忘れかけていた1週間後、以下の回答文からJOHN LOBBから届きました。
Thank you so much for your email and your interest in our shoes. I apologise for my delay in replying. The plain elastic on instep shoe can be worn as a smart alternative to the more traditional Lace up oxford shoes. Although it is essentially a slip on shoe, it has a long front which gives the shoe a smarter appearance than the casual Norwegian slipper (loafer style) shoes that we make. This long front combined with the elastic on instep also help to support the foot in a similar way to a full laced shoe. I think the Plain Elastic on Instep shoe would be a great choice for an alternative formal shoe.
毎度毎度「JOHN LOBBが言っているから何でも良い、というわけではない。」
ということをお伝えはしておりますが、それでもこの証言はなかなか参考になるのではないでしょうか。
ニュアンスを汲み取るのが難しいですが「紐靴とは違うもうひとつの選択肢」の中で「最も優れたアイテム」という感覚なのかもしれません。
とはいえ、否定されているわけでは全くなく、きちんとフォーマルシューズとして機能するという認識ではあるようです。
と、いうことでエラスティック・オン・インステップの靴(プレーン、またはストレートチップ)はフォーマルシーンにお召しいただけるということです。
イギリスと日本の風俗習慣に差異は当然ありますが、こういった背景を知ると、また靴の深みがじんわりと感じることができるので、革靴の世界というのは面白いです。
最後になりますが、このエラスティック・オン・インステップシューズはフォーマルだけでなく、日常ビジネスシーンにはこの上なく快適にご利用いただけます。自信をもってお勧めする次第です。