ロブス/ワールド フットウェア ギャラリーのコレクションを代表するイタリアの名門
ロブス ホールカット「CBW2560E」 46,200円(税込)
アッパーに切り替えのない、一枚革仕立てのホールカットシューズです。マッケイ製法ながら、2020年に登場した新ラストの、やや丸みを帯びたシルエットは英国靴を思わせます。職人のハンドパティーヌによる、イタリア靴らしい鮮やかなカラーリングが楽しめるモデルです。レザーソール。
実は、史上初めてビブラムのコマンドソールを街履き靴に採用したのはロブスだったのです!
ワールド フットウェア ギャラリーのスタッフがロブス(1974年に伊・ミラノ近郊チェロ・マジョーレで創業)を最初に訪問した1980年当時、同社はドライビングモカシンで成功を収めていました。一説に、このタイプの靴を史上最初に手掛けたのはロブスとカーシューで、伊・ビジェバノのミュージアムは、この2社が「ほぼ同時期にドライビングモカシンの生産を始めた」と解説しているそうです。
1982年に登場したドライビングシューズ。
ロブス社の当主セネカ・ヴィンチェンソ氏(1985年撮影)。
その頃、スタッフたちは伊・ビブラム社(1937年、登山家ヴィターレ・ブラマーニ氏により創業)にも訪問しており、そこで登山ブーツの底材として開発されたビブラム・コマンドソールを目の当たりにし、街履き用の革靴に採用することを決意します。そして、それをロブスの創業者で靴職人セネカ・ヴィンチェンソ氏が承諾し、開発したのが、「429」のモデル番号が与えられたローファーでした。今でこそコマンドソールはさまざまな靴に使われていますが、実はこの「429」こそが、史上初めてビブラム・コマンドソールが使われた街履き靴だったのです!
1982年、ロブスの日本デビュー・モデルとして「429」を仕入れると、ファッション系セレクトショップや大手通信販売などに卸し、定価3万6000円で販売。これが大当たりし、生産が終了した1987年までに、実に販売実績10万足以上を記録しました。
史上初のビブラム・コマンドソール採用街履き靴として1982年に登場したローファー「429」。
2012年秋に復刻され、即完売となった復刻モデル。
1991年の神宮前本店開業以降、高い品質に比して比較的お手頃な価格設定もあって、ロブスはワールド フットウェア ギャラリーの人気の売れ筋ブランドであり続け、いくつものモデルをヒットさせてきました。セネカ氏が亡くなった2012年に生産が中断されるも、現在は遺族がブランドを継承し、今なおワールド フットウェア ギャラリーのコレクションを代表する存在であり続けています。
「ビブラムって、今でこそ大企業になったけど、あの当時はゴム底材の小さい工場だったんです」 by WFG スタッフ
「それまで手掛けていたG.H.バスやG.T.ホーキンスよりも上の世代が履ける靴を探していたとき、ロブスに巡り合ったんです。ちょうどその頃、ビブラムの工場にも行っていて、じゃあ、そこのコマンドソールを使ってロブスに靴を作ってもらおうと思ったんです。今、ビブラムって世界的な会社になっていますが、あの頃はまだ、小さな工場でした。コマンドソール以外の底材は、ほとんど作ってなかったんじゃないかな? コマンドソールは元来が登山靴用のソールで、グリップはいいけど見た目がゴツゴツしてるから、あれを革靴に使おうだなんて欧米のメーカーでは発想できなかったと思いますよ。でも、日本では『429』が大ヒットしましたからね。ただ、『429』と一緒に、ロブスから仕入れたドライビングモカシンはさっぱり売れなかった(笑)。時代が早すぎたんです」
イマ、買えるロブスの紹介はコチラ! → https://wfg-net.com/collections/lobbs
以上、執筆:雑誌ライター 山田純貴