ザ ハーヴィー/日本のデザイナーが開発し、日本の工場が作る、日本人のための実用靴
内鳩目の6アイレットがドレッシーな表情を醸し出す、このキャップトウダービーでは、アッパーに、創業者の山中勝登氏が国内屈指と謳われるホースレザーのタンナーと共同開発したコードバンを採用。耐久性に富むうえ、奥行きを感じさせる美しく艶やかな、このコードバンは5年、10年と履き込むことでさらに光沢を増し、味わい深い表情へと変化していく。また、インソールのクッション材として練りコルクに代え、衝撃吸収にすぐれた高反発スポンジを使い、履き込みによる過度の沈み込みを防いでもいる。グッドイヤーウェルト製法。レザーソール。写真はコニャック。他にブラックあり。各11万円(税込み)。
“語れる”素材を使い、ベーシックなデザインにイマの気分も取り入れた高汎用性が自慢です
20年にわたりカジュアルからモード、ドレスシューズまで国内の名だたるブラントにデザインを提供し、生産に携わってきたデザイナーの山中勝登氏が2018年にスタートさせたシューズブランドです。製靴を担当するのは、東京・浅草で創業し、現在は秋田県仙北郡に工場を構えて革靴の一貫生産に取り組んでいる、国内随一の実力派シューメーカーの宮崎製靴です。
ザ ハーヴィーの靴ではアッパーに、風合いを損なわないギリギリの厚みに加工した成牛のショルダー革(通常、ドレスシューズに用いられることのない革!)をはじめ、伝統的ななめし製法で知られる伊・テンペスティ社のオイルレザー、往年の名門タンナー、独・カール・フロイデンベルクの製革法を今に継ぐ独・ワインハイマー社のカーフなどを採用。「同じ木型でも、用いる革によってこうも違うのか!」と思わず目を見張ってしまう、そんな製品を生み出しています。
デザインではトラディショナルなブリティッシュスタイルをベースにしながらも、そこにほどよくトレンド感が取り込まれており、木型は日本の足形に適いつつもスマートなオリジナルを使用。エレガントで、しかしハードさも併せ持つコレクションは、オンにはもちろんのこと、オフシーンにもオススメできる汎用性の高いモデルのラインナップとなっています。
ホールカットデザインがユニークなオペラスリッポン「ナイトブリッジ」には、国産コードバン製(ブラウン、ネイビーの2色。税込み各10万7800円)も存在するが、2020年に加わった「ナイトブリッジ HV0311Y」では、近年ではほとんど生産されていない、大変希少な国産ゴートスキン(山羊革)からなるメッシュレザーを採用。ホールカットの無駄のないミニマルな姿が、このメッシュの美しい表情をいっそう引き立てている。製法はグッドイヤーウェルトだが、クッション材に練りコルクに代え、高反発スポンジを使用。これにより、劣化や沈み込みを防ぐと同時に、ストレスの少ない履き心地を実現している。レザーソール。ダークブラウンのみ。11万5500円(税込み)。
「コードバンもメッシュレザーも、日本の職人さんが作った素晴らしい素材です」 by WFG スタッフ
「ある日、山中さんから『これから自分のブランドを始める』とお聞きして、そのブランドコンセプトの『Dressed Bold』(「大胆にドレスアップした」の意味)に共感し、生産を行うのが宮崎製靴と知り、それなら品質も間違いないということで、展開がスタートしたとき、うちの店でも取り扱うことにしました。『バーリントン』に使われているコードバンは国内の某タンナーの革で、山中さんがそこに通いながら、なめし方から共同で開発したもの。美しい風合いの、大変素晴らしいコードバンです。一方、『ナイトブリッジ』のメッシュタイプに使われているメッシュレザーも美しく、実にみごとなものです。実はこのメッシュレザー、’80年代にメッシュシューズで一世風靡したフランスブランド、ステファン・ケリアンの製品を生産していた宮崎製靴の職人さんが手編みしたものなんですよ」
イマ、買えるザ ハーヴィーの紹介はコチラ! → https://wfg-net.com/collections/the-harvey
以上、執筆:雑誌ライター 山田純貴