カルピエーレ/アリゲーターレザーを贅沢に使いつつ、お値打ちプライスでご提供
カルピエーレ「アリゲーターハイカットスニーカー CPW0402Y」
カルピエーレ「スポーツライン」の1モデル。稀少で高価なアリゲーターレザーをアッパー全面に使用しながらも、箇所ごとに異なる部位をフレキシブルに使い分けたことでお値打ちプライスが実現した、ワールド フットウェア ギャラリー別注モデルである。29万7000円(税込み)。
世界遺産の街の実力派シューファクトリーが自社一貫生産にこだわって作るオリジナル
イタリア半島南部のカンパニア州にあるエルコラーノは、ナポリ中心部から南東へ約8kmに位置する人口約5万3000人の街です。ここは西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火によって廃墟となった遺跡があり、近隣のポンペイなどとともに世界遺産「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」に登録されています。
カルピエーレ社は、そんな歴史ある街で1964年、チーロ・デ・パスカーレ氏が設立したカルザトゥリフィシオ・デ・パスカル社を前身とするシューメーカーです。現在、大規模なファクトリーを擁することで高い生産性とコストパフォーマンスを可能とし、メゾンの製品や有名なビスポークブランドの既製ラインなど多くのOEMを手がけており、それと並行してオリジナルブランドのカルピエーレにて、クラシックなドレスシューズからスニーカーまで幅広いプロダクトを展開しています。
カルピエーレのコレクションでは、部材の仕入れからデザイン、製甲、底付け、仕上げにいたるまでの全てを同国内にて現地スタッフが手がけており、採用するカーフなどはイタリア産であるなど、メイド・イン・イタリーであることに強いこだわりが込められています。また、それらは流麗なフォルム、イタリアらしい洗練されたデザイン、手染めによる繊細で優美なカラーリングなどを特徴とし、いずれのモデルも上質を知る大人たちを魅了する逸品となっています。
先の写真のCPW0402Yは、ワールド フットウェア ギャラリーのエクスクルーシブであるアリゲーターレザーのハイカットスニーカーです。ワニは3種に大別され、クロコダイルがアフリカや東南アジアなど世界各地に棲息し、カイマンが南米原産であるのに対し、アリゲーターは米国南部ミシシッピー河畔を棲息地にしています。口先が広く短く、丸みを帯びており、性格はクロコとは違って温和。その革は東南アジアや北オーストラリアなどのポロサスクロコ(イリエワニ)に次ぐグレードとされています。ちなみに2005年8月にハリケーン・カトリーナが北米を襲った際、養殖のアリゲーターが逃げ出し、革の生産・出荷が停止したというエピソードもありました。
そのアリゲーターレザーをアッパーに贅沢に使用した、このスニーカーは箇所ごとに、その革の異なる部位が使い分けられているのが一番の特徴。サイド&バックに使われている肚ワニ(はらわに)は、その名のとおりの腹部の革。角型斑紋が整然と連なる様が竹の節のように見えることから「竹符」とも呼ばれます。一方、トウキャップやレースステイには肚と背をつなぐ両脇腹の革を使用。こちらは「玉符」と呼ばれ、円や楕円の斑紋が大小入り混じった面を成しています。
と、このプレシャスな革を惜しみなくもフレキシブルな使い分けにすることで、本品では価格を抑えることに成功。しかも、アッパーから醸し出される表情は非常に変化に富んだ独特のものとなり、それがこのシューズを無二なものにしているのです。
「カルピエーレは高級ブランドのOEM生産で、ワニ革の使い方に熟知したメーカーなんです」 by WFG スタッフ
「実はカルピエーレのコレクションはドレス系がメインなんですが、うちの店ではこのアリゲータースニーカーのみを取り扱っています。カルピエーレ社とは、うちのオリジナルブランドのドレスモデルを作ってもうらうなど、以前からお付き合いがありました。で、あるとき、スペシャルな靴を作ろうということになって、それでこのスニーカーが出来上がったんです。同社は某フランスブランドとか伊・ステファノ・ブランキーニなどのOEMでワニ革の靴を作ってきたこともあり、この革の使い方に熟知しているんですよ」
以上、執筆:雑誌ライター 山田純貴