さて、VフロントとNavvy Cutの二大外羽根の形状のお話をさせていただきましたが、今回はその羽根の形から、デザインの話に。
今回はブローグの外羽根の靴の話をさせていただきます。
ブローグシューズはイギリスのカントリーサイドで生まれた靴です。湿地帯を歩くときに靴の中に水が入ってしまうため、その際水を抜く為の通水口として、穴をあけたのが、今でも残っているブローグシューズの穴飾りです。
そんなカントリーサイドで生まれたブローグシューズで外羽根の靴ともなれば、それを履いたらカントリー。
カジュアルな要素はありますが、すべてがすべてカジュアルになる…かというとそうでもない面があります。
ドレスシューズは全て「装うこと」からきています
いくらカントリーシューズといえど、元はすべて装うこと、「ドレス」からスタートしています。
大きな枠の中に分類するのであれば、カントリーシューズもドレスシューズです。
イギリスの王室をはじめとする、貴族層は棘も貫通しないツイード、暖かなフランネルのジャケット、多少の雨などに濡れても平気な油に浸したジャケットを着ながら狩猟を楽しんでいました。現代ならもっと軽くて機能性のある素材があるのでなかなか想像ができないかもしれませんが、スポーツの中にもきちんと「装う」という社会性を持たせていました。
ですから、外羽根のブローグシューズはカジュアルではありますが、ドレスの要素を持つ靴になるのです。
「カジュアル」も幾通り
カジュアルと一言でいっても、いろいろなカジュアルスタイルがあります。
Tシャツと短パンというカジュアルスタイルに合わせるのに、外羽根のブローグシューズは基本的にミスマッチになると思います。
このような軽快な装いには、デザインもスッキリ、もっとカジュアルにローファーなどを合わせる方がいいと思います。
外羽根のブローグシューズをお召しになるのであれば、王道はツイードやフランネル、オイルドジャケットなどを着合わせて、カントリージェントルマンのエッセンスをうまく組み込むといいかと思います。
ポイントは迫力あるデザインと重厚感にマッチするお洋服の「素材感」です。
「ドレス」ですからスーツにも合わせられます
カジュアルな要素は持つ外羽根のブローグシューズですが、ブリティッシュトラッドやアメリカントラッドを感じさせるものであれば、スーツスタイルにも着合わせられます。
「空飛ぶタイヤ」の映画版が公開されるにあたって、雑誌で宣伝をしていたTOKIOの長瀬智也さんがグレーのチョークストライプのスーツにダブルソールの黒の外羽根のフルブローグを履いているのを見たときに、それはカッコいいスタイルだと痺れたのは記憶に新しいです。
チョークストライプといえば、バンカーストライプというほど、イギリスの銀行マンが好んで着るスーツの柄と言われています。
重厚感のある柄になりますし、足元もフルブローグの外羽根になれば、より足元は重みが出るため、これから待っている夏の季節に敬遠されがちではあります。
しかし、スーツの素材をポーラ素材、いわゆるフレスコ素材などにしていただければ、生地のザラっとした織感・質感が、不思議と清涼でスポーティーな印象にまとめてくれます。
フルブローグでは重すぎるとお感じであれば、セミブローグにして、より柔和で都会的なイメージに近づけるのはいかがでしょうか。