前回の外羽根のVフロントの靴の話をさせて頂きました。
Vフロントの靴は若々しく清潔感のある靴だと紹介しました。
そして今回も引き続き外羽根の靴のお話をさせていただきます。
今回はNavvy Cutの外羽根の靴の話です。
Navvy Cutの靴とは
そもそもNavvy Cutという呼称自体が日本ではほとんど使われていないのではないかと思います。雑誌等でもまず使われていることはありません。
まず、読み方ですが「ナヴィ・カット」と呼びます。
この写真の靴のように、羽根の先端の切り返しが四角く、カットされているものがナヴィ・カットと呼ばれます。
語源を探ってみると「Navvy」は土木作業に従事する労働者を指す言葉です。外羽根の靴は軍事目的から生まれた靴ですから、「Navvy cut」と呼ばれても不思議ではありませんね。
さて、このNavvy Cutの呼称を使っているのは、またまた本家本元のジョン・ロブです。
筆者はジョン・ロブ・ロンドン以外でこの呼称を使っているのを見かけたことがありません。「ナヴィ・カット」を知っている、そこのあなた!かなりマニア度は高いですよ(笑)
特にストレートチップのNavvy Cutダービーはやはり元々は軍人が制服に合わせて履いていた靴ですから、とても紳士的で、あらゆる場面に履いて行ける安心感ある靴です。男らしさに満ちた力強い靴がこのNavvy cutのストレートチップです。外羽根=カジュアルではないということを体現する靴といえるでしょう。
なお、この靴をスエードやグレインレザーでお仕立てになれば「Shooting」、つまりは狩猟用の靴=カジュアルシューズに早変わりするから、やはり革靴は奥深いですね。
現在ではどんな場面で履けばいいのでしょうか?
少々、原理主義的な話になってしまいましたが、今日ではもう少し砕いた解釈で靴と楽しく向き合っていいのではないでしょうか。
黒や濃茶のカーフのストレートのNavvy Cutであれば、Vフロントの外羽根の靴にはない、重厚感を感じられるビジネスシューズになります。
職場の服務規程が厳しいところでストレートチップばかり、という方はNavvy Cutのストレートで少し趣を変えてもいいと思います。
決して「カジュアルで履けない」という雰囲気にはならないと思います。
スエードやグレインレザーで作れば、カジュアルになります。
選ぶのにお悩みであれば私どもにご相談ください!
外羽根の靴というのは、ラストの形状、甲革の素材、作り方によっても大きく左右されるものです。
Church’sのShannonやAldenの9901などが好例です。
これらの靴はボリューミーで靴がまん丸に見えますので、さらりとしたウーステッドのスーツに組み込むのはかなり計算立てて行わないと着合わせるのは難しいと思われます。
スニーカーには絶対に無い、革靴特有の繊細なニュアンスを汲み取るというのは、お一人では判断しかねるケースが多々あります。
そんな時はぜひ専門店に勤める私どもにお気軽にご相談ください。
外羽根に限らず、お客様の生活様式にぴったり合う靴をご提案させて頂きます。